
皆さんこんにちは!
ネクストステージ株式会社、更新担当の中西です。
さて今回は
~設計~
ということで、コンテナ設計の基本構成から、設計時の留意点、特注設計の対応法まで、プロフェッショナル向けに深く掘り下げて解説します
目次
コンテナは、単なる「箱」ではありません。
グローバル物流の要であり、近年ではオフィス・住宅・倉庫・仮設施設などの構造物としても幅広く活用される多機能構造体です。
そのため、コンテナの製造における設計段階(デザイン・エンジニアリング)は、製品の価値と安全性を決定づける最重要工程の一つです。
まず押さえておきたいのは、設計は機能・安全・法規制のバランスで成り立つということです。以下の3つを基準として考えます
海上輸送用(ISOコンテナ)
陸上輸送・保管用(倉庫コンテナ)
建築利用(オフィス・仮設住宅など)
特殊設備搭載用(発電機・空調機等)
総重量(最大積載重量)
フォークリフト使用の有無
クレーン吊り上げ対応(4点吊り、2点吊り)
ISO規格(ISO 668, ISO 1496)
CSC(国際コンテナ安全規則)
建築基準法(建築用コンテナの場合)
JIS基準、消防法、電気設備技術基準など
角柱、縦横のビーム、床面のクロスメンバーで構成
耐荷重・ねじれ・変形への強度解析が必要
フォークリフトポケット、吊り金具位置も考慮
スチール製が基本。最近はアルミや複合パネルも増加
耐食性と断熱性の要求に応じた材料選定が必要
遮音・断熱対応(内装利用時)、防火パネル指定のケースも
両開き扉が標準だが、シャッター式・スライド式・ハッチ式もあり
密閉性(パッキン)、施錠機構(南京錠、内鍵など)も選定対象
特殊用途ではウィンドウ、換気口、配線孔の設置も
合板+鋼板下地が主流(18〜28mm厚)
耐荷重性能の算出(集中荷重/面荷重)
機械搭載用ではボルト止め穴やアンカー埋め込みも考慮
使用環境(海上/山間部/多雪地域)を想定
錆び対策(亜鉛メッキ、重防食塗装、ステンレス材使用)
水密試験、風圧試験、振動試験のシミュレーション設計
20ft/40ftサイズが国際輸送で基本
他のコンテナやトレーラーとの互換性を考慮した設計
複数段積み対応(強化コーナーポスト設計)
内装パネルの取り外しや電気配線しやすい構造に
ユニットごとの設計(扉/換気ユニット/電源BOXなど)で柔軟対応
再加工・増築ができるようなモジュール設計が求められることも
溶接構造の応力解析(FEM解析)で歪み・変形を最小限に
構造強度計算書・構造確認申請書類の準備(建築用途)
耐震基準・断熱基準・防火性能の確認
パネルや床の交換が可能な設計(ボルト留め構造など)
溶接ではなくモジュール化構造にすることで再利用性UP
外装にキズがついた際の補修方法も事前に設計で考慮
プロの設計者が使う主なツールと手法は以下の通りです
ツール/手法 | 内容 |
---|---|
CAD(2D/3D) | AutoCAD, SolidWorks, Inventorなどで詳細設計 |
FEM解析 | 構造強度、応力分布、風荷重解析など |
熱解析ソフト | 内部温度管理や断熱性能検証(特に冷凍コンテナ) |
モックアップ | 試作による構造検証、加工性確認 |
VRレビュー | 顧客との共有・確認に有効、設計ミス防止にも |
📦 事例:冷凍食品工場向け 特注コンテナ(20ft)
断熱パネル厚:100mm
冷凍ユニット設置用開口と配線孔
HACCP対応の抗菌内装仕様
水勾配付き床構造(ステンレス製)
耐荷重:1,500kg/m²
電源仕様:三相200V対応・防水盤設置
👉 Point: 設計段階で使用環境・保健衛生法・電気設備技術基準を加味して、初めて「使えるコンテナ」が完成します。
コンテナ製造の「設計」は、目に見えない部分で製品の性能と信頼性を支える重要なプロセスです。
「現場のことを理解した設計者」が「顧客の未来の使い方」まで想定して設計できるかどうかが、他社との差別化になります。